秀革堂の物作り
ヨーロッパの良質な革を使用
良い革の良い部分のみ使います
ヨーロッパにはたくさんのタンナー(革のなめし工場)があり、多種多様な革があります。その中から自分で使って気に入ったおすすめできる革のみ使うようにしています。キズや汚れが製品の表にならないように取り合いを考え、使えるものは目立たない裏面に使用します。革は1枚の中でも部位によって見た目だけでなく性質が異なります。繊維密度の低い部分は強度の必要なパーツには使えませんし、大きく曲げる部分には繊維の流れを考えた切り出しが必要になります。
革のみで製作
裏地や裏打ちに布や合皮は使いません
革の良さを味わうため見えない部分まで全て革のみで作ります。鞄の内袋は主に国産のスエード、芯材には硬いヌメ革の銀面を使います。耐久性の面から考えても革は優れています。合皮やナイロンのようにボロボロになりにくい素材なのです。
厚みのコントロール
適材適所な厚みを考える
切り出した革を重ねただけではいい製品になりません。必要な張り感、強度、スマートなコバを実現するために革漉きの作業は欠かせません。胴版には均一なベタ漉き。部分的には徐々に薄くなる斜め漉きや段漉きを施します。
コバを仕上げる
二つの仕上げ方
秀革堂では天然の布海苔(フノリ)を使い時間をかけて磨いています。布海苔で磨いた革の切り目は艶が美しくはがれる事もありません。その後の蜜蝋を溶かし込む作業によって耐久性が増します。極端に柔らかいい革や、磨きの適さない革の場合は革の端を折り返して断面を見せない仕上がり(ヘリ返し)を用いています。
全て手縫いで製作
量産品にない魅力
ミシン縫いとは違い事前に縫穴を空け、手で一目づつ縫い締めていきます。縫い目のひとつひとつ、納得いくまで丁寧に仕立てるのが秀革堂流です。手縫いによるステッチは左上がりの独特な美しさとほつれにくいという丈夫さを兼ね備えています。
小さなパーツも手間を惜しまない
引手の作り
芯を入れてふっくら仕上げる引手や可愛いタッセルなど、毎日使うものだからしっかりと作り込みます
部材のこだわり
糸やファスナー、金具のクオリティも大切です
革以外でよく使うのは糸です。当工房で使用する糸は革と相性の良いリネンと呼ばれる天然の麻糸です。リネンに蜜蝋を染み込ませ二本の針で両面から手縫いしています。ファスナーには丈夫さと質感で評判の良いYKKのエクセラを使用、ホックはドイツの老舗金具メーカーPRYMの物を使用しています。
製品作りにフィードバック
常に使い心地を検証し、型紙を修正して製品作りにフィードバックしています