【ミニ6】手縫いで作る革のリフィルとはどんなものか

革製の手帳に合うカッコイイ革のリフィルがあってもいいのではないかと思い、製作したのはカード類の収納に向いたミニ6サイズのレザーポケットです。プロテクターのような硬さと革製品ならではの重厚感、高級感を目指しました。

キズや汚れを気にせず、使い込むことによって変化する色艶を楽しめるようにスクラッチレザーを使い、両面のステッチを斜めに仕立てる縫い方で手縫いならではの風格をプラスしてみました。

製作の様子を撮影したのでご覧ください。

製作にあたり考えたこと

サイズについて

製作にあたりサイズや厚み、硬さとの兼ね合いで素材選びに悩みました。ミニ6は規格なのでサイズは決まっている訳ですが、実際に手持ちのリフィルを計測してみるとまちまちであることが分かりました。

一応規格上は短辺80㎜、長辺128㎜などとなっていますが多くのリフィルの長辺は126㎜か125㎜です。短辺は75~76㎜と80㎜が多いです。

ミニ6サイズは小さく収納力も小さいので短辺は最大サイズの80㎜、長辺は多くのリフィルに合わせて125㎜としました。2つほど試作してみましたが革が柔らかいとカード類を出し入れしづらいので張りのあるイタリア産レザーのMARGOTを使い、0.6㎜のベタ貼り合わせとしました。

結果的に厚みはおよそ2.5㎜、革どうしが重なる口元は4.0㎜ほどになりました。本当はもう少し薄く仕上げた方がかさばらなくて良いと思うのだけれど、カチッとした張りと革の存在感を強調するためにこの厚みにしました。

色について

色は2色、ブラウンとグレーに決めました。内装部分になるリフィルは手帳の内装と同じ考えかたで表側の存在感を妨げない色を使う、白と黒を使わない、ナチュラル、ブラウン、黄色、グレー,焦げ茶、エトープの6色をメインの内装色として考えています。奇抜な色や鮮やかな内装を好む方もいるとは思いますが、それは例外と考えています。

車の内装色に近いと思います。ボディカラーは白と黒はもちろん、赤や青や緑やありますが内装は赤や青や緑では落ち着きません。赤みがかっているとしても茶色に近い落ち着いた色、青と言っても真っ青ではなく青みがかったグレーなど、内装に向いた色というのがあると思います。真っ赤なフェラーリの真っ赤なレザーシートは例外です。

中でもブラウンとグレーは内装色の王道だと思っています。ブラウンには革=「茶色」の刷り込みがあって落ち着く色なのだと思います。無彩色のグレーは表革の色を問わず馴染んでくれる万能選手です。

製作工程

料理みたいに材料の下ごしらえから始めます。レザーポケットひとつに使う革は4枚です。必要サイズより少し大きく切り出したものを必要な厚みに薄く加工します。革漉きと呼ばれるこの加工は専門にしている職人がいるほど難解で奥の深い作業です。

秀革堂では手持ちの漉機を用いて適切な厚みになるように自前で加工しています。今回使用したマルゴーの元の厚みは2.3㎜前後でしょうか。上の写真のようにかなり薄くしていることが分かると思います。通常、革は銀面の部分が一番繊維が密で強く、それを貼り合わせて一枚として使うので薄さの割に強い素材が出来上がります。

上の写真は本体の部分です。床面どうしを貼り合わせローラーを使って圧着します。

ポケットの部分の革は一枚を折り返して貼り合わせることで強くてステッチの無いシンプルなコバにします。しっかり圧着したあと飾りの捻だけ施します。縫い合わせないので糸ほつれやはがれの心配のない丈夫なコバになります。

貼り合わせてから切り出すことで正確なサイズを確保できます。

左上は4枚の革から作った3つのパーツ。右の写真はそれらを貼り合わせるための粗し(荒らし)加工をした様子です。多くの革の表面(銀面)は仕上げの塗料やオイル、磨きなどによって貼り合わせずらい状態になっています。それを削り取って内部の革を露出させる工程が粗しです。

ポケットの片側のみ先に貼り合わせ縫い穴(菱目)を空けて縫い付けてしまいます。多くの革製品は組み立てる順番が大切です。たった3枚のレザーポケットでも順番を間違えると上手くできません。

ポケットのかぶせの部分を貼り合わせます。かぶせは少し斜めに切り落とし飾りの捻を施してあります。この部分も一枚の折り返しで裏までつながった革です。一番よく動く部分で曲がる部分なのでステッチの無いシンプルなコバにしてあります。

かぶせの部分を縫い合わせたところです。このあと4辺のコバを布海苔を使って磨き、蜜蝋で仕上げています。

金具に通す穴をあけたら完成となります

完成したレザーポケット

内側まで革で作る

以上で内部まで革で作られたレザーポケットの完成です。小さいながらも重厚で存在感のある仕上がりになったと思います。ポケットの口元は糸を二重にして強度を高めてあります。

裏面の斜めステッチ

手縫いの特徴に左上がりの斜めのステッチ(縫い目)があります。通常裏面は真っ直ぐのステッチになってしまいますが、レザーポケットでは手縫いならではの技法で右上がりの斜めのステッチになるように縫っています。

プロテクター代わりにトップに

特に上下は設定してないので左右どちらにでも使いやすい方に通してください。目隠しで一番上に入れるもよし、最後尾に入れてパンパンにカードを詰め込むもよしです。

マットな質感のオイルレザーは使用と共に艶を増し愛着の湧くツールになることと思います。

他のサイズでの製作や色違いなどのご希望がありましたらご相談くださいね。

ではでは。